すべての人は自分が正しいと思うことをしている
私は、約20年間、人材育成・社員研修に携わってきました。
さまざまな研修プログラムを作ってきましたが、
その際、NLPという学問をベースにしています。
NLPとは、ニューロ・リンギスティック・プログラミングの略で、
日本語訳では、神経言語プログラミングといいます。
そのNLPの中に「肯定的意図」という考え方があります。
ネガティブな行動の中にもポジティブな目的があるというものです。
人を動かす三原則
世界的ロングセラー「人を動かす」D・カーネギーの本にこんな内容があります。
凶悪な殺人犯である二丁ピストルのクローレーは、逮捕された後、「自分の身を守っただけなのに、なぜこんな目に合わされるんだ」と。
自分の行動は正しかったのだと主張したといいます。
これは極端な例で、犯罪は法律で裁くのは当然ですが、
ここで分かることは、人の行動には本人が正しいと思っている目的があるということ。
研修を行う際、受講生のネガティブな反応や態度に困らされることがあります。
明らかに話を聞く気がない人
他の受講生に迷惑をかける人
研修の雰囲気を邪魔する人など・・・
そんな人への対処法として、休憩時間などに話しかけて肯定的意図を探ります。
会社への不満、仕事や人間関係が上手くいかない・・・などの
愚痴や不満を聞いていくと、本当はその人が「もっと仕事で成果を上げたい」
「会社を良くしたい」「職場の人間関係を改善したい」など
ポジティブな目的を持っていることが分かります。
その行動の肯定的意図を聞き「なるほど」「大変ですね」と受け止めることで
その後の反応が変わることがあります。
私の肯定的意図は「自立すること」だった
どんな行動でも、その行動を取った肯定的意図に気づくことが大切です。
高校生活を1学期で終えた私は、親の知り合いのお寿司屋さんで
見習いとして働くことになりました。
ご夫婦でお店を切り盛りしている小さなお寿司屋さんでした。
そのご夫婦の家の仏壇が置いてある和室に住み込んでのスタートです。
朝10時から夜中2時まで働き、月3万円です。
いざ働くといっても15歳の私はツテもなく、親からの進められるままに、そこで働きましたが、嫌で嫌でたまりません。
夜中にお客様とお寿司を食べにくる厚化粧の飲み屋のお姉さまや雀荘にお寿司の配達を頼むサラリーマンなどを相手にしていると
「自分は何をやっているのだろう」と落ち込む日々が続きました。
我慢できずに「やめたい」と親に相談すると、「次はこの仕事に行きなさい」と言われるままに次のお店へ。
そこも長続きはしません。
親もいら立ちを感じているのが分かります。
ある時、とうとう私はプチ家出をして、「仕事やアパートを自分で探すから口出ししないでほしい」といいました。
その時、初めて自分の意見を伝えることができました。
月5万円でしたが自分で仕事を探し、3万円のアパートを借りて生活を始めました。
17歳の時です。
今、自分の過去を振り返り、その時のことを考えます。
親に言いたいことを言えず、言われるがままに従うけど何をしても長続きしない。
家族からも周囲からも信用されず、孤立していく自分・・・
当時の私の肯定的意図は「自立すること」でした。
それに気づき、自分の意見を言うことができた時、私は仕事へのモチベーションがわいてきました。
今回はここまで。