「企業は人なり」を改めて感じた!
リーダー研修の受講生たちの現場での必死の努力により、会社は再生しはじめ、黒字がでるようになってきました。
親会社からも社員の頑張りと会社の財政状態の改善が認められて、増資による支援をしてくれるようになりました。
それまで親会社からは会社を解散させる(倒産させる)ために役員を派遣し、準備をしていたのでした。
その派遣された役員も社員の変化を見て、会社の復興に期待できるという報告をしたそうです。
その報告を受けて親会社の支援が入ると会社の体力も戻り、労働条件も改善させていきました。
「企業は人なり」という言葉がありますが、まさしく社員が何とかしなければと奮闘し、
努力する会社は必ず良くなるものと思います。
逆に「こんな会社に誰がした。経営者が悪いと批判や評論ばかりの会社は決して良くなることはないでしょう。
会社がV字回復し、3年目になろうかという頃に大きな出来事が起こります。
隣接するグループ会社との統合の話しが持ち上がり、一気に社員数は倍の1,300名以上に。
同じグループ会社とはいえ、今まで敵対しており交流もほとんどなかったのです。
こちらの会社に相手会社吸収合併する形で話は進みました。
敵対していた相手と統合で「どちらが上で、どちらが下」というマウントの取り合いも多発し、
従業員同士の融和も何もありません。
せっかく回復して軌道に乗りつつあるのに大丈夫だろうか?という不安の声もありました。
大きな目で見ると統合することでお客様へのサービスも向上し、競合他社との競争にも有利に運べる好条件が整うと考えると、
些細な内輪もめから意識を外に向ける必要があります。
統合後、すぐに私は統合先の事業所15か所を回り、ドライバーの横乗りや社員との対話に走り回りました。
私のドライバー教育で培った「現場に足を運んで社員と対話をする姿勢」がここでも役に立ちました。
当たり前ですが、対立していた会社とはいえ、同じ人間であり、日本人です。
きちんと話しを聞き、会話していけば分かり合えると改めて感じたのはこのときです。
そんな中、ドライバー研修の一環でドライバーのリーダーたちを集めた1泊2日の研修を企画しました。
統合後、初めて顔を合わせる人たちも多く、各事業所から集まったリーダーたちがスライドを使って
メンバー構成や仕事内容を説明していく内容は新鮮でした。
そのリーダーの集まりには、社長をはじめ経営陣や部長、所属長などの管理職も参加してもらいました。
昼は各事業所のリーダーたちの発表を聞き、夜はバーベキューで懇親会を開きます。
社長の「一丸となって会社を盛り上げよう!」という挨拶に全員が感動し、交流を楽しみました。
寝食を共にすること、同じ釜の飯を食うことが人と人の距離を一気に縮めます。
この研修を機に事業所間の交流も盛んになり、会社は融和ムードとなって統合後の新しい会社の船出が始まったのでした。
やはり、すべては人の意識がつくり出すものです。
一番の問題点は、無知であるということです。お互いを知らないことで敵対しているということもあるでしょう。
人材育成、社員教育という仕事を通じて「人」の大切さを知ることができました。
コロナ禍で人と人の交流やコミュニケーションが希薄になっている今だからこそ、さらに重要さは増していくことでしょう。
会社統合後の激動の日が2年ほど続いた後、私は次の目標を探し始めていました。